2019.7.1

(過去記事)知っておきたい税金の話22 平成28年度税制改正案の概要

※この記事は、平成28年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

昨年12月24日に「平成28年度税制改正大綱」が閣議決定されました。現在国会で審議されており、3月末ごろには可決・成立する予定です。
今回の内容で注目すべき点は、やはり「消費税の軽減税率制度の導入」が盛り込まれたことでしょう。軽減税率の導入については賛否両論ありましたが一応の結論を得ました。
大綱のうち実務的に重要と思われる項目を取り上げてみました。

 

【法人税】
 法人税率の引下げ(減税)
法人の国税と地方税を合わせた実効税率が現行の32.11%から、28・29年度は29.97%、30年度は29.74%に下がります。
 企業版ふるさと納税の創設(減税)
個人版のふるさと納税とはその趣旨・内容が異なるようですが、地方創生のために企業が一定の寄附をした場合に、法人住民税や事業税が減税になります。
 生産性向上設備投資促進税制の終了(増税)
平成29年3月31日の適用期限をもって廃止になります。
 建物付属設備・構築物の償却方法が定額法に一本化(増税)
これまで定率法と定額法の選択適用でしたが、平成28年4月1日以後取得のものについては定額法のみになります。

 

【消費税】
 軽減税率制度の導入
平成29年4月1日から消費税率が10%になる予定です。それに伴い次のものについては8%のままの軽減税率が導入されます。
・酒類と外食を除く飲食料品の譲渡
・週2回以上発行される新聞の定期購読料
 インボイス制度の導入
平成33年4月1日からの導入予定ですが、それまでは区分経理に対応するための措置が講じられます。

 

【所得税】
 スイッチOTC薬控除の創設(減税)
検診や予防接種等を受けている人が、年間12,000円を超えるスイッチOTC医薬品を購入した場合の医療費控除の特例が創設されます。
 通勤手当の非課税限度額の引上げ(減税)
平成28年1月1日以後の通勤手当について、非課税限度額が月10万円から15万円に引き上げられます。

 

【土地・住宅税制】
 空き家を売却した際の特別控除の創設(減税)
空き家の発生を抑制するために、被相続人が居住していた家屋や敷地を譲渡した場合で、一定の要件を満たせばその譲渡益から3,000万円を控除できる制度が創設されます。
 三世代同居に対応した住宅のリフォームにかかる税額控除の創設(減税)
自己所有の家屋に三世代同居改修工事等をした場合に、一定の要件を満たせばローン控除又は税額控除のできる制度が創設されます。

 

【その他】
 自動車取得税の廃止(減税)
平成29年3月31日をもって、自動車取得税が廃止されます。
 クレジットカード納付制度の創設
平成29年1月4日から、インターネット上のクレジットカードによる国税の納付が可能になります。