2019.9.6

知っておきたい税金の話36 免税事業者からの仕入については消費税が控除できなくなります

※この記事は、令和元年7月11日に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。

 

消費税増税とともに始まる軽減税率制度の実施に伴い、「インボイス制度」が令和5年10月より始まります。
現在、課税事業者が免税事業者から仕入れた場合(課税仕入れの場合)、支払った額は消費税込みの金額として処理できるため、仕入税額控除の対象となり、結果として消費税の納税額を引き下げることになります。しかし、令和5年10月1日以降は、例外を除き、免税事業者からの仕入れについては、仕入税額控除ができなくなります。

 

1.令和元年10月1日から令和5年9月30日までは、税額控除の対象です。
現行制度と同じく、免税事業者からの課税仕入れも仕入税額控除はできます。ただし、区分記載請求書等保存方式の要件(※1)を満たした請求書等と帳簿の保存が条件となります。

※1 区分記載請求書には、①請求書発行者の氏名又は名称、②取引年月日、③取引内容(軽減税率の対象品目である旨) 、④請求書受領者の氏名又は名称(省略可能な場合あり)、⑤税率ごとに合計した税込対価の記載が必要になり、帳簿には①課税仕入れの相手方の氏名又は名称、②取引年月日、③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)、④対価の額の記載が必要となります。
太字:現行制度に加えて必要となる記載事項

 

2.令和5年10月1日からは、原則控除対象外となります。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)(※2)が始まり、例外を除き「適格請求書等」の保存が仕入税額控除の要件となります。この「適格請求書等」を発行できるのは、登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)のみです。免税事業者は「適格請求書等」を発行できないため、免税事業者から仕入れても仕入税額控除ができないこととなります。

※2 インボイス制度(適格請求書等保存方式)では、①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号、区分記載請求書等保存方式の②③④、⑤税率ごとに合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率税率ごとに区分した消費税額等が記載された請求書等の保存と、帳簿への上記と同様の記載が必要となります。適格請求書の発行事業者が、小売・飲食店・タクシー業等の場合は、記載事項を簡易なものとする「適格簡易請求書」を発行することができます。
太字:区分記載請求書等保存方式から追加、変更となる記載事項

 

インボイス制度には、例外と経過措置が設けられておりますので、その内容については次回に紹介いたします。