2019.6.27

(過去記事)知っておきたい税金の話20 災害を受けた場合の所得税の軽減

※この記事は、平成27年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

「平成26年8月豪雨災害」や「平成25年台風18号災害」により福知山市を中心に多くの方が被害に遭われました。被害を受けた方は確定申告を済まされたでしょうか。税務署や市役所、税理士会などで広報されていますように、個人所有の資産が災害等により一定の損失を生じた場合には、所得税の軽減措置が設けられています。今回は「雑損控除」と呼ばれる制度の概要をご説明しましょう。該当される方は確定申告をすることにより所得税が軽減されます。

 

【1】雑損控除の概要
所得税法では、個人が所有する資産を「生活に必要な資産」、「生活に通常必要でない資産」、「業務・事業用資産」の3つに大別しています。雑損控除はそのうち「生活に必要な資産」が災害・盗難・横領により一定の損失を被った場合に適用できます。
(1)対象となる資産
雑損控除の対象になるのは主に「生活に必要な資産」です。生活に必要な資産とは、住宅、家財(家具、什器、衣服、書籍、冷暖房装置など)、車両(事業用や趣味娯楽のための車両は除く)などをいいます。
それに対し生活に通常必要でない資産とは別荘や茶室、又は価額が30万円超の貴金属、書画、骨董、美術品等をいいますが、こちらは雑損控除の対象にはなりません。
(2)災害・盗難・横領による損失であること
損失の発生原因が災害・盗難・横領の場合のみ雑損控除の対象になります。災害は震災、風水害、冷害、干害、落雷など自然現象によるものや火災などの人災をいいます。盗難は現金や車両などの盗難が対象になります。ただし、振り込め詐欺など詐欺による損失は対象になっていません。
(3)損失額
一定の損失額がある場合に雑損控除の対象になります。計算方法は少し複雑ですので省略します。損失額はその年分の所得金額から控除しますが、控除しきれない損失額がある場合は、翌年以後(3年以内)に繰り越して所得金額から控除することになります。

 

【2】確定申告の手続き
雑損控除の適用を受けるためには、災害にあった年分の確定申告書に雑損控除に関する事項を記載する必要があります。また、申告時には「り災証明書」や損失額の計算書などが必要になります。詳しくは税務署でご確認ください。