2019.6.6

(過去記事)知っておきたい税金の話5 住宅取得等資金の贈与税の非課税

※この記事は、平成24年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

父母や祖父母など直系尊属から、自分の居住用家屋を取得等するための金銭の贈与を受けた場合に、一定の要件を満たすときは、非課税限度額まで贈与税が非課税になる制度があります。この制度は以前からありましたが、平成24年度税制改正において多少の改正が入り、平成24年から平成26年まで継続することになりました。その概略をご説明しましょう。

 

【1】非課税限度額
非課税限度額は、受贈者ごとの限度額となります。

(1)今回の改正により、一定の省エネ住宅又は耐震住宅を取得等した場合の非課税限度額が別途設けられました。
(2)贈与税には、暦年課税の場合ですと基礎控除額が110万円あります。それと合わせて平成24年中の贈与の場合1,610万円又は1,110万円まで贈与税がかからないことになります。
(3)住宅取得等資金のうち贈与税が非課税となった金額については、贈与者が死亡したときのその贈与者に係る相続税の計算において、相続税の課税価格に加算されませんので、相続税対策としても有効です。

 

【2】受贈者の要件
父母や祖父母など直系尊属からの贈与により住宅取得等のための金銭をもらった受贈者の要件は、次のようになります。
(1)贈与を受けた時に国内に住所を有しており、贈与者の直系卑属であること。
(2)贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
(平成24年の贈与の場合、平成4年1月2日以前生まれの方)
(3)贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
(4)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等をすること。
(5)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること又は、遅滞なく居住することが確実と見込まれること。
(6)自分の親族など一定の特別な関係のある方からの住宅の取得等でないこと。
(7)平成23年分以前の年分において、旧非課税制度の適用を受けていないこと。

 

【3】注意事項など
(1)対象となる住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等には一定の要件がありますが、平成24年度の改正で適用対象となる住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下に限定されました。また、床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であることも必要です。
(2)住宅用家屋の取得等には、その住宅とともにするその敷地の用に供される土地等を含みます。
(3)この制度は、住宅用家屋の新築等のために贈与を受けた「金銭」が対象となりますので、住宅用家屋そのものの贈与には適用できませんのでご注意ください。
(4)この制度の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書に一定の書類を添付して提出することが必要です。贈与税の申告期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
(5)東日本大震災により被害を受けられた方には、上記とは別の規定が設けられています。