2019.6.3

(過去記事)知っておきたい税金の話 2 多額の医療費を支払った年の医療費控除

※この記事は、平成24年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

確定申告のシーズンになりましたので、今回は「医療費控除」についてお話します。確定申告をすることにより税金が戻る場合がありますが、その代表的なものに医療費控除があります。
医療費控除とは、あなたやあなたの家族のために支払った医療費の合計額が年間10万円(一定の場合は所得の5%)を超える場合に、一定の金額を所得から控除できるという制度です。ただし、この制度の適用を受けるためには、確定申告をする必要があります。

 

(1)医療費控除の計算方法
控除額(注①)=1年間に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額-10万円(注②)
(注①) 最高で200万円です。
(注②) 所得金額が200万円未満の人は10万円に代えて「所得金額×5%」になります。

 

(2)対象になる医療費の範囲
医療費控除の対象になる医療費は、医師、歯科医師等による診療や治療等を受けるために必要と認められるもので、主に次のようなものになります。ただし、毎年1月1日から12月31日の間に支払ったものが対象になり、未払いの場合は支払いが済むまでは控除できません。

【医療費控除の対象になるもの】
①医師や歯科医師による診療費、治療費、入院費
②治療や療養に必要な医薬品の購入費
③あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師による治療費
⑤保健師・看護師・准看護士による療養上の世話代金
⑥診療や治療を受けるための通院費
⑦出産費用など ・介護保険の費用のうちにも控除対象になるものがあります。

【注意点】
・通院費としてのバスや電車代は控除対象になりますが、領収書がないことが多いため医療費に含めるのを忘れやすいので留意して下さい。
・美容整形や病気予防、健康増進のためのものは控除対象になりません。
・健康診断の費用は、原則対象になりませんが、健康診断の結果重大な病気が見つかり治療を受ける場合には対象になります。
・親族に支払う療養上の世話の費用は医療費に含まれません。
また、医療費は本人分以外にも、生計を一にする配偶者や親族の医療費を本人が支払った場合には、本人から控除できます。

 

(3)保険金などで補てんされる金額
保険金などで補てんされる金額には次のようなものがあり、支払った医療費から差し引くことになります。
・高額な医療費を支払った場合に受け取る高額療養費
・生命保険などで医療費の補てんを目的として受け取る医療保険金や入院給付金など
・出産時に健康保険から受け取る出産育児一時金など

なお、確定申告書を提出する時までに補てんされる金額が確定していない場合には、その見込額を控除することになります。

 

(4)控除を受けるための手続き

①確定申告書を提出するときに、医療費の領収書を添付又は提示します。
②電子申告をする場合は、領収書を手元に5年間保存します。

 

以上、医療費控除についての概要となります。実際にはもう少し細かい話もいろいろとあります。詳細につきましては税務署や税理士にご確認ください。