2019.11.27

知っておきたい会計・経理・財務の話01 財務分析の基礎①

※この記事は、令和元年11月11日に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。

 

2019年10月1日に消費税が10%に増税されました。同時に軽減税率やポイント還元などの負担軽減策が講じられていますが、今後消費が冷え込む可能性は高く、中小企業においてはこれまで以上に難しい判断が迫られる場面が多くなると考えられます。そのような時こそ、自社の状況や、取り巻く状況を適切に把握し、自社が進むべき方向やそのための戦略を決めて実行していくという経営の基本が重要となります。そのために必要となる会計や経理、財務に関する情報をご紹介していきたいと思います。

 

財務分析の基礎①

会社の状況を正しく把握することに役立つのが財務分析です。財務分析は、会社の会計情報(貸借対照表や損益計算書などの決算書の情報)を用いて現状を把握し、競合他社との比較等を通じて企業の状況を分析するもので、会社にとっての健康診断のようなものです。
財務分析は、主に(1)収益性分析、(2)安全性分析、(3)生産性分析、(4)成長性分析と区分されることが多いので、それぞれの中から、代表的な指標を紹介いたします。自社の決算書が手元にある方は、実際に確認してみてください。

 

(1) 収益性分析の指標の例

 

■営業利益率

(計算式)営業利益率=営業利益÷売上高
どれほどの利益を獲得しているかを分析する指標の一つで、高いほど本業の業績が良いといえます。
営業利益率はローカルベンチマーク(※)ツールにも採用されている指標で、このローカルベンチマークツールによると、例えば中規模の小売業の場合、中央値が3.0%ですので、自社の営業利益率が3.0%であれば、業界内の順位がちょうど中央であることを意味し、5点中3点と評価されます。
ただし、財務分析の指標は、同業他社と比較することも有用ですが、適切な水準は業種や規模のほかにも様々な特性により、つまりは会社毎に異なりますので、自社の過去数値との比較、月次の推移を確認するなどして、変動した原因を分析し、必要な対策をとることが重要となります。

 

(※)ローカルベンチマークとは、経済産業省が企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツールとして、経営者等や金融機関・支援機関等が、企業の状態を把握し、双方が同じ目線で対話を行うための基本的な枠組みです。