2019.7.22

(過去記事)知っておきたい税金の話35 消費税増税と経過措置

※この記事は、平成30年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

過去2回延期されてきた消費税の増税ですが、少子高齢化が進み社会保障費の拡大が避けられない状況などから、2019年10月1日(以下、施行日といいます)には施行される予定です。

 

施行日以後の取引には、原則として新税率(10%)が適用されることとなりますが、これを厳格に適用することが明らかに困難と認められる取引については、経過措置が設けられており、旧税率(8%)を適用することになります。

経過措置が適用される主な取引は以下の通りです。
①旅客運賃等
乗車券・チケット等で、事前に購入しておいて施行日以降に利用するもの
②電話料金等
水道光熱費や電話料金等で、2019年10月31日までの間に料金が確定するもの(施行日前から継続して供給しているもの)
③工事請負工事
2019年3月31日までの間に締結した工事請負契約に基づき、施行日以後に引き渡し等が行われる請負工事等
その他、資産の貸付け、指定役務の提供、予約販売に係る書籍等、特定新聞、通信販売、有料老人ホーム、家電リサイクル法に規定する再商品化等のうち一定の要件に該当する取引については、旧税率となる8%が適用されます。

 

ここで、旧税率としての8%と、増税後の軽減税率による8%は同じ8%でもその内訳が異なります。具体的には、旧税率は国税6.3%、地方税1.7%であるのに対し、軽減税率は国税6.24%、地方税1.76%となります。
このため事業者がこれらの取引を記帳する際には、上記の経過措置に係る取引と、軽減税率の対象となる取引(食料品の販売など)は、消費税の区分を明確に区別しておく必要があります。