2019.7.9

(過去記事)知っておきたい税金の話28 配偶者控除・配偶者特別控除が改正されました

※この記事は、平成29年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

近年、中小企業においてパートタイム労働者は重要な戦力とされ、その仕事の内容や働き方は多様化しています。一方で、例えば妻のパートタイムでの収入が一定額以上になると、夫の配偶者控除や配偶者特別控除の適用がなくなることにより所得税や住民税が上がってしまい、妻のパート時間を抑えざるを得ない例が多くあります。
ここで、国としては経済の成長力の底上げのため、就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築することを目的として、今年から配偶者控除・配偶者特別控除の見直しを行いました。
今回は、企業で働くパートタイムの働き方に影響を与えるこの配偶者控除・配偶者特別控除の改正について紹介いたします。
なお、以下では主たる稼ぎ手である夫が会社員、妻はパートタイムのみで収入を得ており、いずれも70歳未満の家庭を例として扱っております。

 

【今回改正のポイント】
① 夫が配偶者特別控除38万円を受けることのできる妻の収入の上限額が、今までは105万円未満でしたが150万円以下まで引き上げられました。また、150万円を超え201.6万円未満の場合でも一定額の配偶者特別控除を受けることができるように改正されました。(減税)
② 夫の給与収入が1,120万円を超えると配偶者控除及び配偶者特別控除は段階的に少なくなり、1,220万円を超えると両方とも適用は無くなります。(高所得者に増税)

 

ただし、パートタイムの働き方を検討する場合、他にも考慮しなければならない事項があります。例えば、今回の改正では、妻自身の収入に対する所得税や住民税、社会保険は従来から変更はありません。そのため、多くの場合には妻自身の収入が130万円(会社によっては106万円)以上となると、社会保険料の負担が発生します。また、夫が務めている会社が独自に配偶者手当等を支給している場合、この制度と関係なく基準が定められている場合があります。

これらを踏まえ、パートタイムの働き方、また企業にとってより良い活用方法をご検討ください。