2019.7.8

(過去記事)知っておきたい税金の話27 生活に深くかかわる税制の改正

※この記事は、平成29年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

最近の税制改正は我が国の経済成長を主なテーマとするなか、少子化対策や地方創生の推進も重要視され、個人の生活にかかわる施策が多く含まれています。今回は平成28年度税制改正で、個人の生活に密接にかかわる個人所得税に関する主なものをご紹介いたします。

 

■セルフメディケーション税制の創設
従来の医療費控除制度の特例としてセルフメディケーション税制が始まりました。平成29年1月から健康の保持増進などの一定の取組みを行っている者が、特定の医薬品等の購入額合計が年間で「1万2千円」を超えた場合に所得税や住民税が減額される制度です。
この制度の対象となる具体的な医薬品は厚生労働省のHPで確認でき、一般的な風邪薬なども対象となっています。この制度の適用を受けるためには、確定申告時には証明書類(レシート等)が必要となりますので、適用する予定がある場合には保管するようにしてください。
なお、1年間に医療費が合計「10万円」を超えた場合に適用される医療費控除制度は今後も継続されますが、上記特例との選択適用になります。

 

■相続した空き家を売却した場合の所得税軽減措置
近年増加する空き家の発生を抑制するため、相続により生じた空き家について、一定の要件のもとに譲渡した場合、3,000万円までの売却益には税金がかからないという制度です。
平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間の譲渡が適用になります。空き家をこの期間に譲渡した場合は、本来発生する税金がかからないようにできる、もしくは少なくできる可能性があります。

 

■住宅の三世代同居改修工事をした場合の所得税軽減措置
世代間の助け合いによる子育てを支援する目的で、自分が居住する家屋に三世帯同居に対応したリフォームを借入金で行った場合、最長5年間、借入金残高の一定額を所得税から控除できる制度です。
従来のリフォームローン型減税(バリアフリー改修工事や省エネ改修工事)の対象に、三世代同居改修工事が追加されたものです。対象となる工事は①調理室、②浴室、③便所、④玄関のいずれかを増設する工事であって、その工事費用の合計額が50万円を超えるものとなります。
また、同様のリフォームを自己資金で行い一定の要件を満たす場合には、その工事に係る標準的な工事費用の10%に相当する金額を所得税から控除することができます。
平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間に居住した場合に適用となります。