2019.6.20

(過去記事)知っておきたい税金の話15 消費税率引上げの対応

※この記事は、平成26年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

消費税率が8%に上がる4月1日がいよいよ近づいてきました。それまでに事業者としては何をどのように対応すべきでしょうか。いくつかポイントをまとめてみました。

 

1. 経理関係では、会計ソフトが消費税率のアップに対応しているかの確認と経過措置の適用がある取引の確認が必要です。原則として、4月1日以後に行う取引には8%の消費税がかかりますが、経過措置と言って、一定の取引については4月1日以後でも5%を適用することになります。その経過措置に該当する取引の確認が必要です。

 

2. 販売や購買関係では、販売購買の管理ソフトが消費税率アップに対応しているかの確認が必要です。また、請求書を発行する場合に3月21日~4月20日分を4月分として請求する場合のように末締めでない請求書は、請求書を2枚に分けるなどの工夫が必要となります。

 

3. 小売店などの販売の現場では、商品の金額表示の変更が必要になります。これまで小売段階では、消費税の「税込み表示」が義務づけられていました。しかし、「消費税転嫁対策特別措置法」により平成25年10月1日から「税抜き表示」も認められることになりましたので、次の消費税率10%への移行も見据えて「税込み表示」にするか「税抜き表示」にするかの検討を行い、値札や店内表示、チラシ、パンフレット、HPなどの価格表示を、消費者の誤解を招かないようにわかりやすく表示することが大切になります。ただし、平成29年3月31日までには、「税込み表示」に戻すことが必要です。国税庁HPに「総額表示義務の特例措置に関する事例集」という大変具体的でわかりやすい解説がありますので、そちらを参照されることもお薦めいたします。
また、レジの税率設定の対応の確認も必要になります

 

4. 広告や宣伝をする場合には、消費税分を値引きするなどの表示は禁止されていますので文言には注意が必要です。例えば、「消費税は当店が負担します」「消費税8%分還元セール」「消費税増税分をキャッシュバックします」などの表示は禁止されます。詳しくは中小企業庁のHPなどでご確認ください。

 

5. 消費税率引上げ3%分を価格転嫁できないと、つまり税込み価格を据え置く場合には、税抜きの売上高が減少することになります。その結果利益や資金の減少を招くことに繋がり、経営上にも影響してくる可能性があります。消費税の円滑かつ適正な転嫁ができるように、今回「消費税転嫁対策特別措置法」が平成25年10月1日から施行されています。