2019.5.31

(過去記事)知っておきたい税金の話1 東日本大震災に係る寄附金控除

※この記事は、平成24年に「北近畿経済新聞」に掲載されたものです。現在の状況とは異なりますので、ご留意ください。

 

今回から「知っておきたい税金の話」というタイトルで、難しい税金の話を出来るだけわかりやすく読者の方にお伝えすることを目標に、毎回テーマを選んで解説してみようと思います。税金の話を正確にお伝えしようとすると、どうしても税法独特の専門的な用語を使わざるを得ないようになり話が難しくなります。そこで、多少正確性に欠けることになるかも知れませんが「出来るだけわかりやすく」をモットーに書きたいと思います。そうは言っても字数に制限がありますので、その範囲内でどこまで「わかりやすく」が達成できるかわかりませんが、1人でも多くの方に「知っておいて損はありませんよ」という話ができればと思います。
さて今回は、個人の方が東日本大震災の被災者を支援するために義援金や寄附金を支出した場合に、一定の条件を満たせば所得税や住民税が安くなりますよという話です。
昨年は、未曾有と言われる東日本大震災が起こり、たいへん多くの方が被災され悲しく辛い思いをされました。そんな方達のために少しでもお役にたてればとの想いから、多くの人がさまざまな形で活動されています。その一つに、被災地域の方のために義援金などの寄附をされた方も多かったようです。その支出した寄附金等を確定申告することにより、一定の場合に所得税や住民税が安くなります。もうすぐ確定申告のシーズンになります。これまで確定申告にあまり縁がなかった方も、これを機に確定申告をされてみてはいかがでしょうか。
(1)対象になる寄附金の範囲
①平成23年3月11日から平成25年12月31日までの期間に、次の震災関連寄附金を支出した場合
②震災関連寄附金とは、
 国又は青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県の各県(県内の市町村も含みます)、長野県栄村、新潟県十日町市、新潟県津南町の各地方公共団体にした寄附金
 日本赤十字社、中央共同募金会、認定NPO法人、公益法人等に対する義援金で一定のもの
 新聞社などの募金団体を通じて寄付した義援金などで一定のもの
なお、街頭募金、コンビニのレジなどに置かれている募金箱への募金などは、残念ながら控除の対象にはなりません。
(2)寄附金控除の計算
では、支出した災害関連寄附金のうち、所得税を計算するうえでいくらが控除の対象になるかと言いますと、支出した災害関連寄附金の合計額から2,000円を差し引いた残りの金額が所得から控除できます(総所得金額の80%が限度です)。なお、この控除は所得からの控除で、税金から直接控除するのではありませんのでご留意ください。
(3)手続き
①確定申告書に寄附金控除に関する事項を記載する。
②災害関連寄附金を支出したことが「確認できる書類」を確定申告書に添付又は提出時に提示する。
確認できる書類とは、国や地方公共団体の採納証明書、領収書、受領書、振込みの控え、募金団体が発行する預かり証などになります。
以上、今回は東日本大震災関係に対する寄附に限定した話ですが、寄附金控除はそれ以外にも一定の場合に適用があります。詳しくは税務署、市役所、税理士などにご相談ください。国税庁HPにも詳細が載っています。